天空の塩 パピタ

( ↑天空の塩職人 パピタとパピスケ 髙田歳三画・文字デザイン 髙田愛羅 )

 

 

高知県の塩職人 田野屋塩二郎さんに塩をオーダーに伺ったのが2015年。

 

『瀬戸内海の海水で塩を作ったら絶対に美味しい。』

 

塩二郎さんにそう云われて以来、尾道の海水での塩作りを6年間行ってきました。

様々な製造方法を模索する中で、納得のいくクオリティと規模感も一昨年より明確となり

昨年からは店舗用以外にもギフト用の鯛の浜焼きにも自家製の塩を使用しております。

 

今後、より質の高い塩作りを持続可能な形で継続できるよう、2020年から図面と構想を描いていた塩工場

『 天空の塩パピタ 』の施工(大工は先輩の寄國慶行氏)がいよいよ2022年の幕開けと共に始まりました。

 

自宅屋上に木製の製塩ハウスを建設し、完全天日塩の塩作りに取り組みます。

 

製塩の際に使用する器も私が自ら掘ってきた地元の土を用いた製塩土器(約36cmの平鉢)を

向島東製陶所 惠谷幸史さんに作製(初版100枚)頂き、ハウス一面に土器を並べ

ゆっくりと時間を掛けて海水を蒸発させていきます。

 

使用する海水も満月の最もエネルギーに満ち溢れた時に汲み上げます。

 

 

 さぁ、ここからが本題です。

 

 『何故、塩を作るのか?』

 

地に根差した料理を探求する上で、食の根幹となる水と塩。

これらが地元のものである事はもはや当然のことだからです。

 

そして何より、私共で製造しております鯛の浜焼きの原材料は

『鯛』と『塩』のみから作られます。地元の漁師さんが地場の豊かな漁場で

獲った天然真鯛を朝締めの状態で常時仕入れ出来る尾道という町では

縄文時代より塩作りが行われておりました。

 

 

鯛・塩・人。


全て尾道産 祈りの町の郷土料理と呼ぶに相応しいものを作り続けていく強い使命感を持ち、今後も品質向上に努めて参ります。

 

 

コロナ禍で新たに始めた、大切な人の幸せを祈って贈られるギフト用の鯛の浜焼き。私が出来ることは美味しい鯛を焼き上げることは勿論ですが、最も大切なのは海水を汲み上げる所から祈りを込めて作る心構えだと思っています。

 

今の時代、最も大切で現代人が忘れかけているものは『祈り』です。

 

お客様ひとりひとりの人生の大切な場面でお選び頂けるよう、尾道より祈りを込めて焼き上げさせて頂きます。

 

 

世界中の質の高い塩が安価で入手出来る現在。

100万を超える設備投資を行って製塩ハウスや製塩土器を作成し、海水を屋上まで運び、天日塩を作るという行為は非常にクレイジー。

 

 

 

人生は一度かぎり。

 

 

 

だからこそ鯛の浜焼きという浪漫に満ちた崇高な料理を海水を汲み上げる所から祈りを込め、命懸けで作り上げるのです。





むかしむかし。 今は未来の昔。

 

我々の営みもいずれ過ぎ去り、未来を生きる人たちの遠い過去となります。

 

 

 

歴史というものは過去を振り返る事だけではなく、祖先たちが積み上げてきたものに厚みをつけて未来へ紡ぐ事です。

 

 


目には見えないものを畏れ・崇めた太古の昔。

海水を煮詰めて出来上がる不思議な白い結晶も、きっと神聖なものであったと思います。

科学や技術が進化した現在の私たちは、目に見えるものしか信じる事が出来なくなってしまいましたが、この天空の塩工場には塩職人パピタとパピスケが今日もせっせと塩づくりに励んでいるのです。